皆さん、こんにちは!LunchTime広報部です!
今回は、エフェクトの絵コンテの描き方について解説していきます。
多くの初心者が、カッコいいエフェクトを作りたいと奮起しますが、「頭の中のイメージをうまく言語化・視覚化できない」という壁にぶつかります。
その解決策の一つが、 絵コンテを描くこと です。
この記事では、これからエフェクトデザイナーを目指す方、現場でクオリティを上げたい方、自身の制作フローを整えたい方に役立つ内容をまとめました。
絵が描けない人にも読んでいただけるように書いていますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
- なぜ絵コンテが必要なのか
- 絵コンテの基本構造
- 絵コンテ描き方ステップ
- 初心者がつまずきやすいポイントと回避方法
- 具体的な絵コンテの例:メテオエフェクトの場合
- まとめ:絵コンテは“絵”ではなく“設計図”
- なぜエフェクトに絵コンテが必要なのか
ゲームエフェクト制作においては「作りながら調整する」ことも多く、コンテが不要だと思われることも多いです。
しかし、絵コンテが重要視される場合もあります。その理由は以下の通りです。
①文章では表現しにくいイメージが伝わりやすくなる(完成を確認する)
絵コンテを描くことで自身のイメージを視覚で確認することができ、デザインを更にブラッシュアップできます。
また形にすることによって、イメージと違う箇所にも気づくことができます。
② 制作の迷いが減る(目的が明確になる)
エフェクトは、形・色・光・動き・速度・消え方など、決めるべき要素が非常に多い表現です。
絵コンテを描いておけば「全体の流れ」が視覚化され、制作中に迷わなくなります。
③作品を完成させることができる(挫折しない)
コンテが無いまま作ると、完成させるために何が必要なのか、わからなくなってしまうことも多いです。
絵コンテを描いておけば「必要な要素」や「完成形」がわかり、エフェクトを完成させることができます。
- ゲームエフェクトの絵コンテの基本構造
一般的に、エフェクトの絵コンテは次の要素で構成します。
① エフェクトの時系列を起承転結にわける
エフェクトにも起承転結があります。エネルギーが働いているのであれば、その流れを追っていくと良いでしょう。
爆発エフェクトであれば、このような流れで、エネルギーが流れていきます。
・起承転結の「起」
→エネルギーが集まったり、圧縮したりすることで、エネルギーを凝縮する。
・起承転結の「承」
→凝縮された爆発のエネルギーが解放されて、閃光(フラッシュ)が起きる。
・起承転結の「転」
→光の次に衝撃や火花、爆発のエネルギーが放出される。
・起承転結の「結」
→煙や土埃が起きて、爆発のエネルギーが散っていく。
② シルエット(形の変化)
エフェクトではまず形を伝えることが重要です。
- 爆発が球状か、破片が四方に飛ぶのか
- 魔法陣が広がるのか、上昇するのか
- 炎は縦方向か横方向か
“外側のシルエット”を見るだけで方向性が理解できます。
③ 主要要素のパーツ分け
エフェクトはパーツの集合体です。
例えば魔法の爆発なら、
- コア(中心の光)
- フラッシュ
- 衝撃波
- 火花
- 煙
- 細かい粒子(キラキラなど)
のように複数のパーツが存在します。
④ 色と明暗の指示
絵コンテ段階でも色の方向は必ず示します。
- 「青系」「紫と白の組み合わせ」
- 「フラッシュのみ白飛び」
- 「煙は暗め」
など、明暗・色味の指示はとっても重要です。
⑤ 補足説明(文字情報)
絵だけでは伝わりきらない情報を言語化します。
- “閃光で一気に明るさを上げる”
- “破片は奥行き方向に飛ばす”
- “煙は2秒かけて消える”
- “明滅は2回だけ”
絵+言葉で初めて設計書として成立します。


- エフェクト絵コンテの描き方ステップ
ここからは、実際に絵コンテを描くときの流れを解説します。
① まずは目的を言語化する
最初に「何のためのエフェクトなのか」をはっきりさせます。
- 例:魔法攻撃
- タイプ:氷魔法(単体攻撃)
- 雰囲気:冷たく鋭いイメージ
- 伝えたい感覚:刺すような冷気 → パキッと砕ける
この情報が曖昧なまま絵コンテを描くと、仕上がりは100%ブレるでしょう。
② ざっくりの流れを4コマで描く
いきなり細かいフレーム分割はしません。
まずは 4コマで描きましょう。
例:氷の魔法なら
- 氷のエネルギーが収束
- コアが光る
- ピークで氷柱が弾ける
- 粉雪のように消える
この「4コマの全体像」が、エフェクトの骨格になります。
またカメラワークにこだわりたいときは、一番盛り上がる見せ場を先に決めて1コマにし、
そこから他3コマを埋めていくのも良いでしょう。
③要素ごとに分けて描く
例えば爆発なら、
- フラッシュ
- 衝撃波
- 破片
- 煙
- 火花
- 照り返し(ライト)
などをパーツ分けします。
一度にすべてを描き込んでも良いですが、
コンテを描く際に、全部まとめずに分解して描くことも良い方法です。
これがあると、Unity/UEでの再現がスムーズになります。
④ 色指示・テクスチャ指示を入れる
色やテクスチャの方向性を見失わないために、先に指示を書き込んでおくのも手です。
テクスチャなどの方向性を間違うと手戻りが大きいです。
例:
「中心は白く飛ばし、外側に青」
「氷の破片はノイズ入り」
「煙は青グレーで透明度高め」
絵が下手でも、こうしたテキスト情報のおかげで意図がしっかり伝わります。
⑤ 最後に“演出の目的”と照らして修正する
最初に言語化した目的と照合します。
- 冷たさは出ているか?
- 刺すような鋭さがシルエットに反映されているか?
- 弾ける瞬間に気持ちよさが出ているか?
ここがブレるとクオリティが下がるので、最後に必ず見直します。
- 初心者がつまずくポイントと回避方法
ここでは、初心者がよく陥る問題点をまとめます。
① 描き込みすぎる(情報過多問題)
絵コンテは“清書”ではなく“設計図”です。
描き込みすぎると逆に伝わりづらくなってしまいます。
→ シルエット8割、描き込み2割 を意識するのが良いです。
② コマごとの動きの差が弱い(動きが伝わらない)
よくあるのが「全部同じ形に見えるコンテ」。
エフェクトは変化が大事なので、
コマごとの“差”を強調して描くのが重要です。
③ 明暗(白飛び)の指示不足
光のピークがあるかないかで、エフェクトの気持ちよさは激変します。
「中心が白飛びする」
「反対に暗い瞬間を作る」
といった明暗指示も大事です。
④ 消え方を描かない
初心者がよく描き忘れるのが「終わり方」。
- 徐々に粒子が消える
- 一気にフェードアウト
- 余韻を残す
起承転結の結も大事ですので、忘れずに描きましょう。
- 具体的な絵コンテの例:メテオエフェクトの場合
最後に、例を使いながらまとめます。
① 全体の目的
攻撃魔法(炎)
隕石をぶつける大技
着弾後の大爆発がピーク
② 4コマの骨格
上空より隕石を落とす
カメラが引いて、隕石が着弾する
着弾直後に大爆発
爆発後に地面がメラメラと燃え上がる
③ 要素別レイヤー
- 火球の炎(オレンジ~赤)
- 風切り(白)
- 煙(白~グレー)
- フラッシュ(白 → 黄、十字閃光)
- 火柱(赤~オレンジ)
- 火花(赤〜オレンジ)
- 衝撃波(灰色)
- 煙(黒に近い灰色)
- 揺らぎ(熱の歪み)
④ 色指示・補足
隕石中心部は黄色よりの色
フラッシュ時には白飛び
インパクト時の煙と着弾や残り火の煙は、動き方を変える
火花は放射状 + Z方向にも飛ばす

- まとめ:絵コンテは“絵”ではなく“設計図”
エフェクトの絵コンテで重要なのは、絵の上手さではありません。
必要なのは、以下のポイントです。
✔ 時系列で“変化”を見せる
✔ シルエットで伝える
✔ レイヤーで分解する
✔ 色・明暗の方向性を指示する
この要点がそろっていれば、どれだけラフでもしっかりとエフェクトが完成させられます。
ゲームエフェクトは、一瞬でプレイヤーの感情に訴えかける表現です。
その“瞬間の感動”を作るために、絵コンテは最高の武器になります。
ぜひ、この方法を使って自身の制作フローを強化してみてください!
引き続き、ランチタイム、エフェクトラボ、ゲームエフェクトに関する情報を、ブログを通じてたくさん発信していく予定です。
このブログをきっかけに、少しでも多くの方にエフェクトデザイナーへの興味を持っていただければ幸いです。
次回の記事もお楽しみに!!
