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ゲームエフェクト絵コンテの描き方

皆さん、こんにちは!LunchTime広報部です!

今回は、エフェクトの絵コンテの描き方について解説していきます。

多くの初心者が、カッコいいエフェクトを作りたいと奮起しますが、「頭の中のイメージをうまく言語化・視覚化できない」という壁にぶつかります。
その解決策の一つが、 絵コンテを描くこと です。

この記事では、これからエフェクトデザイナーを目指す方、現場でクオリティを上げたい方、自身の制作フローを整えたい方に役立つ内容をまとめました。

絵が描けない人にも読んでいただけるように書いていますので、ぜひ最後まで読んでみてください!

  1. なぜ絵コンテが必要なのか
  2. 絵コンテの基本構造
  3. 絵コンテ描き方ステップ
  4. 初心者がつまずきやすいポイントと回避方法
  5. 具体的な絵コンテの例:メテオエフェクトの場合
  6. まとめ:絵コンテは“絵”ではなく“設計図”
  1. なぜエフェクトに絵コンテが必要なのか

ゲームエフェクト制作においては「作りながら調整する」ことも多く、コンテが不要だと思われることも多いです。
しかし、絵コンテが重要視される場合もあります。その理由は以下の通りです。

①文章では表現しにくいイメージが伝わりやすくなる(完成を確認する)

絵コンテを描くことで自身のイメージを視覚で確認することができ、デザインを更にブラッシュアップできます。
また形にすることによって、イメージと違う箇所にも気づくことができます。

② 制作の迷いが減る(目的が明確になる)

エフェクトは、形・色・光・動き・速度・消え方など、決めるべき要素が非常に多い表現です。
絵コンテを描いておけば「全体の流れ」が視覚化され、制作中に迷わなくなります。

③作品を完成させることができる(挫折しない)

コンテが無いまま作ると、完成させるために何が必要なのか、わからなくなってしまうことも多いです。
絵コンテを描いておけば「必要な要素」や「完成形」がわかり、エフェクトを完成させることができます。

  1. ゲームエフェクトの絵コンテの基本構造

一般的に、エフェクトの絵コンテは次の要素で構成します。

① エフェクトの時系列を起承転結にわける

エフェクトにも起承転結があります。エネルギーが働いているのであれば、その流れを追っていくと良いでしょう。

爆発エフェクトであれば、このような流れで、エネルギーが流れていきます。

・起承転結の「起」
→エネルギーが集まったり、圧縮したりすることで、エネルギーを凝縮する。

・起承転結の「承」
→凝縮された爆発のエネルギーが解放されて、閃光(フラッシュ)が起きる。

・起承転結の「転」
→光の次に衝撃や火花、爆発のエネルギーが放出される。

・起承転結の「結」
→煙や土埃が起きて、爆発のエネルギーが散っていく。

② シルエット(形の変化)

エフェクトではまず形を伝えることが重要です。

  • 爆発が球状か、破片が四方に飛ぶのか
  • 魔法陣が広がるのか、上昇するのか
  • 炎は縦方向か横方向か

“外側のシルエット”を見るだけで方向性が理解できます。

③ 主要要素のパーツ分け

エフェクトはパーツの集合体です。
例えば魔法の爆発なら、

  • コア(中心の光)
  • フラッシュ
  • 衝撃波
  • 火花
  • 細かい粒子(キラキラなど)

のように複数のパーツが存在します。

④ 色と明暗の指示

絵コンテ段階でも色の方向は必ず示します。

  • 「青系」「紫と白の組み合わせ」
  • 「フラッシュのみ白飛び」
  • 「煙は暗め」

など、明暗・色味の指示はとっても重要です。

⑤ 補足説明(文字情報)

絵だけでは伝わりきらない情報を言語化します。

  • “閃光で一気に明るさを上げる”
  • “破片は奥行き方向に飛ばす”
  • “煙は2秒かけて消える”
  • “明滅は2回だけ”

絵+言葉で初めて設計書として成立します。

  1. エフェクト絵コンテの描き方ステップ

ここからは、実際に絵コンテを描くときの流れを解説します。

① まずは目的を言語化する

最初に「何のためのエフェクトなのか」をはっきりさせます。

  • 例:魔法攻撃
  • タイプ:氷魔法(単体攻撃)
  • 雰囲気:冷たく鋭いイメージ
  • 伝えたい感覚:刺すような冷気 → パキッと砕ける

この情報が曖昧なまま絵コンテを描くと、仕上がりは100%ブレるでしょう。

② ざっくりの流れを4コマで描く

いきなり細かいフレーム分割はしません。
まずは 4コマで描きましょう。

例:氷の魔法なら

  • 氷のエネルギーが収束
  • コアが光る
  • ピークで氷柱が弾ける
  • 粉雪のように消える

この「4コマの全体像」が、エフェクトの骨格になります。
またカメラワークにこだわりたいときは、一番盛り上がる見せ場を先に決めて1コマにし、
そこから他3コマを埋めていくのも良いでしょう。

③要素ごとに分けて描く

例えば爆発なら、

  • フラッシュ
  • 衝撃波
  • 破片
  • 火花
  • 照り返し(ライト)

などをパーツ分けします。

一度にすべてを描き込んでも良いですが、
コンテを描く際に、全部まとめずに分解して描くことも良い方法です。
これがあると、Unity/UEでの再現がスムーズになります。

④ 色指示・テクスチャ指示を入れる

色やテクスチャの方向性を見失わないために、先に指示を書き込んでおくのも手です。
テクスチャなどの方向性を間違うと手戻りが大きいです。

例:

「中心は白く飛ばし、外側に青」

「氷の破片はノイズ入り」

「煙は青グレーで透明度高め」

絵が下手でも、こうしたテキスト情報のおかげで意図がしっかり伝わります。

⑤ 最後に“演出の目的”と照らして修正する

最初に言語化した目的と照合します。

  • 冷たさは出ているか?
  • 刺すような鋭さがシルエットに反映されているか?
  • 弾ける瞬間に気持ちよさが出ているか?

ここがブレるとクオリティが下がるので、最後に必ず見直します。

  1. 初心者がつまずくポイントと回避方法

ここでは、初心者がよく陥る問題点をまとめます。

① 描き込みすぎる(情報過多問題)

絵コンテは“清書”ではなく“設計図”です。
描き込みすぎると逆に伝わりづらくなってしまいます。

→ シルエット8割、描き込み2割 を意識するのが良いです。

② コマごとの動きの差が弱い(動きが伝わらない)

よくあるのが「全部同じ形に見えるコンテ」。

エフェクトは変化が大事なので、
コマごとの“差”を強調して描くのが重要です。

③ 明暗(白飛び)の指示不足

光のピークがあるかないかで、エフェクトの気持ちよさは激変します。

「中心が白飛びする」

「反対に暗い瞬間を作る」

といった明暗指示も大事です。

④ 消え方を描かない

初心者がよく描き忘れるのが「終わり方」。

  • 徐々に粒子が消える
  • 一気にフェードアウト
  • 余韻を残す

起承転結の結も大事ですので、忘れずに描きましょう。

  1. 具体的な絵コンテの例:メテオエフェクトの場合

最後に、例を使いながらまとめます。

① 全体の目的

攻撃魔法(炎)

隕石をぶつける大技

着弾後の大爆発がピーク

② 4コマの骨格

上空より隕石を落とす

カメラが引いて、隕石が着弾する

着弾直後に大爆発

爆発後に地面がメラメラと燃え上がる

③ 要素別レイヤー

  • 火球の炎(オレンジ~赤)
  • 風切り(白)
  • 煙(白~グレー)
  • フラッシュ(白 → 黄、十字閃光)
  • 火柱(赤~オレンジ)
  • 火花(赤〜オレンジ)
  • 衝撃波(灰色)
  • 煙(黒に近い灰色)
  • 揺らぎ(熱の歪み)

④ 色指示・補足

隕石中心部は黄色よりの色

フラッシュ時には白飛び

インパクト時の煙と着弾や残り火の煙は、動き方を変える

火花は放射状 + Z方向にも飛ばす

  1. まとめ:絵コンテは“絵”ではなく“設計図”

エフェクトの絵コンテで重要なのは、絵の上手さではありません。
必要なのは、以下のポイントです。

✔ 時系列で“変化”を見せる
✔ シルエットで伝える
✔ レイヤーで分解する
✔ 色・明暗の方向性を指示する

この要点がそろっていれば、どれだけラフでもしっかりとエフェクトが完成させられます。

ゲームエフェクトは、一瞬でプレイヤーの感情に訴えかける表現です。
その“瞬間の感動”を作るために、絵コンテは最高の武器になります。

ぜひ、この方法を使って自身の制作フローを強化してみてください!

引き続き、ランチタイム、エフェクトラボ、ゲームエフェクトに関する情報を、ブログを通じてたくさん発信していく予定です。

このブログをきっかけに、少しでも多くの方にエフェクトデザイナーへの興味を持っていただければ幸いです。

次回の記事もお楽しみに!!