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【リアル調?アニメ調?】ゲームエフェクトのテイスト

皆さんこんにちは!LunchTime広報部です!


ゲームの世界観や演出に欠かせない「エフェクト」。そのテイストには大きく分けて「リアル調」と「アニメ調」があり、作品の方向性によって求められるスタイルが大きく異なります。
また、これらの中間的な表現として「セミリアル調」という言葉が使われることもあり、最近では「写実的」といった表現も登場しています。
今回は、ゲームエフェクトにおけるテイストの違いについて簡単に解説しつつ、日本と海外の作品で見られる傾向や、色使いの文化的な違いにも触れていきたいと思います。

※テイストの捉え方は人それぞれ違うので、本記事でご紹介する分け方はあくまで一例としてお読みいただけますと幸いです。

リアル調とアニメ調について

まずは冒頭でお話ししたテイスト「リアル調」と「アニメ調」について簡単にお伝えできればと思います。

■ リアル調エフェクトの特徴
リアル調のエフェクトは、現実世界の物理現象をベースに表現されるスタイルです。火、煙、水、光といった自然現象を「本物のように」見せることが目的となります。

たとえば爆発の表現では、火炎の動き、煙の立ち上がり、破片の飛び散りなどがリアルな物理法則に基づいて作られます。パーティクルのライフサイクル、重力や風の影響も細かく調整され、あたかも本当にその場で起きているような臨場感が演出されます。

リアル調は、現実のようなグラフィックのゲームや、ハードな戦争・SF系タイトルなどに多く採用されています。たとえば『God of War』や『Battlefield』シリーズなど、どこかで見たことがあるのではないでしょうか?

■ アニメ調エフェクトの特徴
一方、アニメ調のエフェクトは、スタイライズ(※様式化された表現)された非現実的な表現が魅力です。物理的なリアリティよりも、「どう見せたいか」「どんな感情を与えたいか」が重視されます。

たとえば、剣を振ったときに現れる「斬撃の軌跡」や、魔法の詠唱時に出る「キラキラした光」、炎がまるで生き物のように踊る表現などがよく使われます。炎や煙も、線で描かれたようなデフォルメがされていたり、二次元的な動きをすることもあります。

特に日本のゲームやアニメ原作の作品ではこの傾向が強く、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『ペルソナ5』などの作品は、アニメ調エフェクトの美しさと多様性を存分に活かしています。

※様式化・・・自然な対象の形態を、誇張したり装飾的に変形させたりすることで、形式化・単純化すること。など

日本と海外のテイストの違い

ここで、日本と海外(主に欧米)のエフェクトテイストの違いについて見てみましょう。

● 日本の傾向
日本のゲームは「記号的」な演出が得意です。ユーザーに一目で何が起こっているかを伝えるため、エフェクトがシンプルかつ分かりやすくデザインされています。たとえば、HPが減ったときの赤いフラッシュや、クリティカルヒット時の強調演出などです。

また、色使いもカラフルで豊か。魔法は青、炎は赤、回復は緑など、プレイヤーが直感的に理解できるよう、色に意味が込められていることが多いです。

● 海外の傾向
一方、欧米のゲームでは「リアリズム」や「物理的な正しさ」が重視される傾向があります。エフェクトも、現実に存在する現象に忠実であることが求められ、派手なデフォルメよりも、細部の動きや質感が追求されます。

色使いも比較的控えめで、画面全体の調和を重視することが多く、あえてモノトーン寄りの落ち着いたトーンが採用されることもあります。

ただし、これはあくまで傾向として見られるものであり、日本のゲームであっても西洋の世界観を忠実に再現している作品では、エフェクトがリアル調であることもありますし、逆に欧米のゲームであっても、スタイライズされたアニメ調のエフェクトが用いられている場合もあります。
そのため、あくまで一つの傾向として捉えておくことが大切です。

色使いと文化的な違い

色使いには文化的な背景が大きく関わっています。

日本では、「派手で鮮やかな色」がポジティブに受け止められる傾向があります。アニメの影響もあり、ビビッドな配色でもユーザーに違和感なく伝わります。赤、青、黄といった原色がよく使われるのも特徴です。

一方で海外、特に欧米では、ビビッドな色は「子ども向け」という印象を持たれることもあり、ダークトーンや落ち着いた色合いが「大人っぽさ」や「リアルさ」を演出する手段とされています。そのため、同じ魔法エフェクトでも、日本と海外では色味や輝きが大きく異なることがあります。

日本と海外のゲーム体験の違い

ゲームの体験の仕方について、日本と海外(主に欧米)で少し違う傾向が見られます。

日本では、ゲーム内の「キャラクター」の世界観を楽しみつつ、キャラクターになりきってゲーム体験する傾向が多いようです。

対して海外では、ゲーム内のキャラクターに「自分自身」を投影して、自分自身としてゲーム体験を楽しむ傾向が多いそうです。

もちろん日本でも没入感を高めてキャラクターに自分を投影して楽しむ方もいらっしゃるかと思いますが、傾向としてゲーム体験にも違いが出るのは興味深いですよね。

ゲームの世界観やテーマの重要性

ここまで読んで、日本と海外のテイストや傾向の違いが少し分かっていただけたかと思います。
単純な傾向もさることながら、ゲームの世界観をどこに近づけたいかによって、あの国に寄せてみる、この国に寄せてみるというアプローチもできるわけですね。

結局のところ、重要なのは「ゲームの世界観やターゲットユーザーに合った表現になっているか」です。

たとえば、リアルな世界観にアニメ的な派手なエフェクトが入り込むと違和感を覚えるかもしれませんし、逆にカジュアルなゲームにリアルすぎる煙や血のエフェクトがあると浮いてしまうかもしれません。

つまり、エフェクトデザイナーとして重要なのは、「どんなスタイルにも対応できる柔軟性」と「世界観にマッチしたテイスト選び」です。

まとめ

リアル調とアニメ調、それぞれの特徴を理解し、日本と海外の違いを知ることで、より説得力のあるエフェクト作りが可能になります。
ゲームの世界観やテーマの重要性をより深く認識してエフェクトに落とし込めると、より一層魅力的なエフェクトになると思いますので、意識して制作していきたいですね!

日々のリファレンス収集や観察力を大切にし、さまざまな作品から学ぶことが、テイストを自分の中に落とし込む近道です。ぜひ、あなたのエフェクト制作にも役立ててみてください!

それでは次回の記事もお楽しみに!

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